左利き便利帳

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左きき用万年筆

 
電子メールで簡単にメッセージが送信できる時代だからこそ、本当に大切なことは敢えて手書きしかも万年筆で手紙をしたためたい。だけどペン先が紙に引っかかることが多くて……。そんな左利き特有の悩みを解消すべく製品化された「左きき用万年筆」を発見! そこで今回は、左利き仕様に設計された万年筆の構造と実際の筆記例をポイントごとに写真を交えながらご紹介いたします。
何かと問題を抱えがちな左手での筆記に福音をもたらす「ドイツ流の思いやり」をとくと堪能してみましょう!
 

#01 はじめに

 


まずは今回のレポートにあたり「左ききの道具店」(後ほど詳細についてご案内)さんより入手した「左きき用万年筆」の基本情報をご確認ください。
 
 
商品名 Schneider BASE(シュナイダー 万年筆 ベース)左利き用
原産国 ドイツ
カラー

ブラック/ブルー/ホワイトの3種類

インク色 ブラック
本体サイズ (約)径12×長164mm
重 量 約18g
原材料 樹脂、ステンレス、イリジウム(ニブの先端部分)
付属品 インクカートリッジ(黒×1本)
本体価格 2,000円+消費税(2018年11月現在)
 
 
 

#02 左利き仕様に設計された万年筆の構造とは?

 
では、さっそく「左きき用万年筆」を左利き用たらしめる構造について解説してみましょう。はじめに以下の図をご覧ください。
 


ドイツ・シュナイダー社による「左利き仕様」とは、左手での筆記時にインクがスムーズに流れるよう、わずかですが中心から回転させ固定したニブ(ペン先)にあります。また通常の万年筆のグリップ部分は一般的に丸みを帯びていますが、この万年筆の場合、グリップ部分がラバー製かつ本体部分を支える中指が当たる部分に「くぼみ」があります。こうしたデザイン面での配慮により、紙に対するペン先の理想的な角度をもたらし、右手よりもストレスフルな左手による筆記に福音をもたらしています。
 

 
斜めからのアングルですと「ニブ(ペン先)」とグリップの「くぼみ」の関係が“手に取るように”確認できることでしょう。
 

#03 左利きのストレスを軽減するノートとは

 
「書きやすさ」を語るとき筆記具にフォーカスを当ててしまいがちですが、ノートの形状や紙質にも筆記時のストレスは左右されます。そこで今回のレポートで使用したノートをご紹介します。
 


ちょっとユニークな形をした「伊葉 NOTE・BOOK 」。こちらは利き手に左右されない“ユニバーサルデザイン仕様”のノートです。最終ページには、左利きと右利きに分けて使い方が記載されています。ぜひ以下の図版をご覧ください。
 


ちなみに図版で説明されている「^Shoulder」は、各ページの最上部に印刷された、ノートと肩との位置関係をチェックするためのマークです。部分拡大したものが以下の写真です。
 


余談はさておきとしまして、いよいよ実践編へと向かいましょう。
 

#04 左手と万年筆が一体になる感覚!

 
先ほど紹介しました  「伊葉 NOTE・BOOK 」の説明に従って左肩と左ページの位置関係セッティングの後、ペン先を紙に落とす緊張の刹那。
 


ひたすら一行分「日本左利き協会」と書き続けてみました。
 


いやはや、ニブ(ペン先)が左利き仕様の角度にセッティングされているだけでなく、約18グラムという軽さも相まって、まさに淀みないインクの流れに「感謝感激雨あられ」。ペン先が紙に引っかかって“かすれる”なんてことは一切なく、とてもスムーズに、ひたすら「日本左利き協会」を書き終えました。
ということは、この左きき用万年筆を右手に持って文字を書いてみたら、どんな現象が起こるのか気になるところです。
 

#05 左きき用万年筆で右利きが実感する左利き特有の悩み

 
ちなみに今回のレポート報告者(大路)は、幼少期に家庭で、小学校入学時も放課後に「左利き児童向け右手書き特訓」を受けています。そのおかげ?もあり高校卒業までは文字については右手で書いていたため(絵は左手)、今でも書字は両手で書くことが可能です。
というわけで、左きき用万年筆を右手に持ち替え「日本左利き協会」と書き綴ってみたものの……
 


万年筆の本体を支える中指を左手のときと同じくグリップのくぼみに置くと、ペン先がスムーズな書字ではあり得ない角度で紙に当たってしまい、上手に書けません。左利きの人が初めて万年筆を持ったとき経験する、あの“ペン先の引っかかり”に四六時中なやまされてしまうのです。
 


こうして「日本左利き協会」と右手で書き綴ってみて判明したことは、上から左側へとペン先を移動させるとき、左利きが漢字やひらがなを書くとき実感する“ペン先を押す行為”と同じ状況となり、紙にペン先が引っかかるだけでなくインクも流れないというジレンマに陥るのでした。
 

#06 書きやすさを極めるなら左利き仕様を使おう!

 
今回のレポートで使用した万年筆のニブ(ペン先)そのものの形状については、左右対称のようにも見えますが、左手で書きやすいよう 微妙に傾斜が付けてあります。また独特な丸みを帯びたペン先の先端にはイリジウムが採用されていることもあり、使っていくうちに“剛性感に裏打ちされた滑らかさ”を感じることができます。
 


以下の写真はペン先の先端部分のアップです。
 


パソコンやスマホの発達により手書きによる手紙や書類をやりとりすることが少なくなるだけでなく、格安ショップの普及により文具店も激減する昨今。そんな時代だからこそ、使い捨ての筆記具を買い換えるより、カートリッジを付け替えれば末長く使える万年筆を大事に使っていきたい。
ことさら左手でのストレスフルな書字から解放される「左きき用万年筆」だからこそ。
 

#07 左利きのための結論

 
1.書きやすさを極めるなら「左利き仕様」の筆記具がベスト
2.ノートはインクがスムーズに流れる上質で滑らかな紙質のものを
 


 

INFORMATION 

今回レポートした左きき用万年筆は「左ききの道具店」でお取り扱い中です。

ショップ名 左ききの道具店
ウェブサイト https://hidari-kiki.shop/
お問い合わせ https://hidari-kiki.shop/inquiry
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