左利き筆法

「左きき筆法」とは、かつて日本に存在した旧「左利き友の会」の創設者・故箱崎総一さんが考案した、左利きのための書道メソッド。いまだ小学校では左ききの悩み多き書道の授業だけでなく、冠婚葬祭etcで毛筆を使うケースが多い大人の左利きの方にも参考になれば幸いです。
このページでは,「左きき筆法」の原点ともいえる左利き友の会発行の『左利き書道教本』ならびに『左ききでいこう!』(フェリシモ出版)に掲載されている「左きき書道教室」のダイジェストをご紹介します。

筆の持ち方

運筆で筆先がササクレ立つのを防ぐため右手で書道するときとは違った持ち方をマスターすることが先決!

左手で筆を持って書道を習うときの姿勢は基本的には右手の場合と同じ。図1のように筆先と紙のなす角度を右手の場合と同じようするのがコツです。この角度は非常に大切で、筆先が15-20度ぐらい傾けないと筆の毛がササクレだち、上手な字が書けなくなってしまうのです。 
次に紙の置き方から生まれる3つの筆法をご紹介しましょう。


 

1. 斜め書き筆法

右下がりの字になるのを防ぎます

左手での運筆のとき問題となりやすい「押す」動作よりも「引く」動作が増える筆法です

半紙や紙,そしてお手本を図2のようにして30-45度右側に傾けて置きます。筆先やペン先の運筆にあたり「押す」動作を減らす効果 があり左から右への運筆がスムーズになるからです。筆先やペン先を自らの身体の方へと運ぶことができ,「引く」動作が増えます。たとえば「一(いち)」という字を書く場合でも,右利きの運筆と近づくことになり,左手での書道特有の筆毛の乱れや紙のよじれを防止できます。右さがりの文字になるのを防ぐほか,行書体・草書体・細字・横書きのときも便利です。

 

2. 横書き筆法

毛筆には便利!

ちょっと見慣れない書き方ですが「上から下へ」という運筆が増えるため毛筆では重宝する筆法です。

この筆法は図3のように大胆にも半紙や紙を90度傾けて書きます。書いた字も90度傾いてしまうので、最初は戸惑いをかくせません。ところが「上から下へ」という運筆が増えるため、毛筆だけを考えれば便利です。左きき筆法の場合、このような紙の横位置が重要となる理由は、漢字の基本線である左から右へと線を引くとき、左手だと左手が体の前を横ぎってしまいますので、それを防止し左手の動作を自由にするためです。

 

3. 正座筆法

大切な字も曲がらず正しい姿勢で書ける!

身体の重心から左側に紙を置き「左から右へ」と運筆をスムーズにできます。

身体の中心よりも左側に紙を置き、紙を傾けずに身体の中心から左へずらし、硯(すずり)もその左へ置きます(図4)。これにより「左から右へ」の運筆をスムーズにすることができます。この筆法の利点は大きな字も曲がらず正い姿勢で書けることです。慣れた人には良い方法ですが、紙が動きやすいため、文鎮(ぶんちん)などでしっかり押さえましょう。いずれの筆法も、見本は右側に、硯は左側に置く配慮をこころがけたいものです。

今後も「左利き筆法」の普及に向けて,さまざまな取り組みを続けていきたいと思っております。ご意見・ご希望・ご感想を,どんどんお寄せ下さい。