左利きQ&A

 A 003 :
国内外で考案された利き手テストがあり利き手の度合いを知る尺度になります。

 


 
「利き手」はどう判定すればいいのだろう?――利き手のメカニズムが完全に解明されていないこともあり、なかなか利き手そのものが客観視づらく、左利きと自称する人であっても箸やペン、ボール投げといった動作では「右手」であることも少なくありません。

以上の点を考慮し標準化をめざして作成された「利き手」判定テストでは、教育や躾(しつけ)の影響を受けにくい動作をピックアップする傾向にあります。たとえば「拍手するとき上にくるほうの手はどちらですか」などとたずねる単純な方法があれば、数十もの項目を設定して質問用紙を作成するといった方法もあります。
 
そもそも学校教育において「利き手調査」は義務づけられておらず、利き手をめぐる指導は教師の裁量に委ねられている現状です。
 
今のところ公共機関や団体が認定した判定テストも存在しませんが、十分に検討が重ねられた利き手テストのなかから、
 

(A)八田武志氏と中塚善次郎氏が作成した[N.H.「利き手」テスト]
(B)チャップマン夫妻が作成した[チャップマン利き手テスト]
(C)ニコルス等が作成した[フランダース(フリンダース)利き手テスト]

 
の3つをご紹介いたします。
 
 

(A)N.H.「利き手」テスト

 
このテストは、イギリスのオールドフィールドが作成した有名な[エジンバラ利き手テスト]を参考にして、日本の文化背景を考慮し1975年に作られました。

特筆すべき点は、オールドフィールドのテストには一項目としてあった「文字書き」は削除されていることや「箸をもつほうの手」といった項目もない点があげられます。

次の質問(10項目)に答えてみましょう。―― どちらの手を使いますか?(左手/右手/両方)
  

 N.H.「利き手」テストの質問一覧表
(1)消しゴムはどちらの手にもって消しますか?
(2)マッチをするのに軸はどちらの手にもちますか?
(3)ハサミはどちらの手にもって使いますか?
(4)押しピンはどちらの手にもって押しますか?
(5)くだものの皮をむくときナイフはどちらの手にもちますか?
(6)ネジまわしはどちらの手にもって使いますか?
(7)クギを打つときカナヅチはどちらの手にもちますか?
(8)カミソリ、または口紅はどちらの手にもって使いますか?
(9)歯をみがくとき歯ブラシはどちらの手にもって使いますか?
(10)ボールを投げるのはどちらの手ですか?

 

判定基準

各項目について、左手を使う場合は「マイナス1点」右手を使う場合は「プラス1点」どちらでもない場合には「0点」をそれぞれ配点します。10項目の合計がマイナス4点以下は「左利き」、プラス8点以上は「右利き」、それ以外は「両手利き」とします。

 
 

(B)チャップマン利き手テスト(チャップマン夫妻作成)

 
1987年に作成され「利き手」テストとしては新しい部類にはいりますが、ここ最近標準化されつつあるそうです。

次の質問(13項目)に答えてみましょう―― どちらの手を使いますか?(左手/右手/両方)
 

 チャップマン利き手テスト質問一覧表
(1)絵をかく
(2)文字をかく
(3)せん抜きを使う
(4)雪玉を木をめがけて投げる
(5)カナヅチを使う
(6)歯ブラシを使う
(7)ドライバーを使う
(8)消しゴムを使う
(9)テニスラケットを使う
(10)ハサミを使う
(11)マッチをするとき軸をもつ
(12)ペンキの缶をまぜる
(13)バットを振る前にのせるほうの肩
 
  

判定基準

各項目について「右手には1点」「両手には2点」「左手には3点」を配点します。その合計が13点から17点を「右利き」、33点から39点を「左利き」、それ以外を「両手利き」とします。 

 
以上、学術界で使われる「利き手」判定テストを、ごく一部でしたが参考までにご紹介しました。試してみた結果 、あなたの「利き手」はどちらだったでしょうか? 
 

(C)フランダース(フリンダース)利き手テスト

 
フランダース(フリンダース)利き手テストはニコルス、トーマス、レッチェル、グリムショーがオーストラリアで開発し2013年に発表された非常に新しい利き手テストです。長らく利き手テストのスタンダートとされてきた[エジンバラ利き手テスト]が開発されて40年以上が経過していることから、新時代にマッチした項目が設定されています。
 
次の質問(10項目)に答えてみましょう―― どちらの手を使いますか?(左手/右手/両方)
 

 フランダース(フリンダース)利き手テスト質問一覧表
(1)文字を書くとき、どちらの手でペン(筆記具)を持ちますか?
(2)食事をするとき、どちらの手でスプーンを持ちますか?
(3)歯を磨くとき、どちらの手で歯ブラシを持ちますか?
(4)マッチを擦るとき、どちらの手でマッチ棒を持ちますか?
(5)消しゴムで文字や図画を消すとき、どちらの手で消しゴムを持ちますか?
(6)お裁縫をするとき、どちらの手で縫い針を持ちますか?
(7)食卓でパンにバターを塗るとき、どちらの手でナイフを持ちますか?
(8)釘を打つとき、どちらの手で金づち(ハンマー)を持ちますか?
(9)ジャガイモやりんごの皮をむくとき、どちらの手でピーラー(皮むき器)を持ちますか?
(10)絵を描くとき、どちらの手で絵筆やペンを持ちますか?
 
  

判定基準

各項目について「左手には−1点」「両手には0点」「右手には+1点」を配点します。その合計が−10点から−点を「左利き」、−4点から+4点を「両手利き」、+5点から+10点を「右利き」とします。 

 
以上、学術界で使われる「利き手」判定テストを、ごく一部でしたが参考までにご紹介しました。試してみた結果 、あなたの「利き手」はどちらだったでしょうか?
 
近い将来、当サイトで上記いずれかの利き手テストに関してアンケートフォームを設置し、自らの利き手意識と利き手テストでの判定とのズレを検証する予定です。そのときには何卒ご協力よろしくお願いします。

[参考文献およびウェブサイト]
・『左ききでいこう!』フェリシモ左きき友の会&大路直哉編著、2000年
http://www.flinders.edu.au/sabs/psychology-files//research/brainandcognition/FLANDERS%20Japanese.pdf