左利きQ&A

 A 004 :
男性と女性でボタン付けが左右異なるのは着付ける人が誰かで異なり、いずれも右利き基準です。

 

 
ここ最近、マニッシュな雰囲気のアウターやシャツは男女とも男性用みたく右胸側にボタンが付いているものも少なくありませんが……
 

女性の前ボタンは左胸側
男性の前ボタンは右胸側

 
 についていることが、かつては一般的でした。
 
どうして男女で左右差があったのか? この疑問については男女で共有できる話題でないことと、西洋発祥ということもあってか、あまり利き手をめぐる疑問として語られることがありませんでした。が、ボタン付けについても利き手が大いに関係しています。
 
ちなみに西洋の貴族社会において女性用の正装は召使いが着付けるものでした。いっぽうで男性は自分自身で着用していました。この男女の違いがボタン付けの違いに由来しています。しかも多数派である「右利き」にとって留めたり外(はず)したりしやすいように。
 
以上のような理由でボタン付けに男女の違いがあったとすれば、女性の前ボタンが左胸側についているということは、左利きにとっては都合良いだけでなく、右利き女性にとっても左手の器用さを養成するうえで有利であるのかもしれませんね。
 
余談になりますが、日本の民族衣装である着物は、男女とも右前にして着るのが一般的で、左前は死装束として忌み嫌われます。ただ、死者の装束を左前にするのは聖なる神仏と同じ前合わせにするためという説もあり、決して「忌(い)む」という一面だけでは語れません。
 
いずれにしましても、西洋では「利き手」、東洋では「宗教や習俗」に左右差があることは興味深いことです。
 

[参考文献・ウェブサイト]
・日本の宗教文化における左手や左足、左肩の習俗の構造とその意味については『左手のシンボリズム』(松永和人著/九州大学出版会/1995年)に詳しく書かれています
・着物の前合わせについてはこちらの記事「<着物の前合わせは右前に! 左前にしてはいけない理由とは
>http://www.rental-mine.com/web/column/kimono-dressing/kimono-right-front.php」を参照させていただきました。